雄犬の尿道閉塞・尿道造瘻術
種 類 | パピヨン 未去勢オス |
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年 齢 | 12歳 |
診療科目 | 外科 |
症 状 | おしっこがぽたぽたしか出ない |
- 症例の概要
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雄の犬や猫は、雌と比べて尿道が細いため、結石などにより閉塞してしまうことがあります。今回は結石により尿道が閉塞してしまったために、外科介入が必要となった症例を紹介します。
検査結果
治療方法
ペニスからカテーテルを挿入し膀胱内へ結石を押し戻すことを試みましたが、陰茎骨のあたりから進まず断念しました。
外科介入が必要と判断し、緊急手術を行いました。
陰嚢ごと精巣を切除し、尿道を切開しました。
そこからカテーテルを挿入しましたが骨盤部分で閉塞していました。
そこで膀胱を切開し、膀胱内の結石を除去したのち、
生理食塩水にてフラッシュを繰り返し、尿道に詰まっていた結石を回収しました。
陰嚢のあった部分に尿道を開口させ(尿道造瘻術)今後はそこから排尿できるようにしました。
術後の経過
術後しばらくはカテーテルを入れて管理していました。
傷口が安定したあと、カテーテルを抜去しました。
自分の意志でまとまった排尿をすることができるようになりました。
結石分析の結果、シュウ酸カルシウムという溶けない結石であることがわかりました。
今回のわんちゃんはこれまでにも膀胱結石の既往がありましたが、療法食は食べず、人の食べ物などを与えていたとのことでした。
今後は結石を作らないように管理していくことが重要となります。
症例について
雄の犬や猫は、雌と比べて尿道が細いため、結石などにより閉塞してしまうことがあります。
最初は小さな結晶でも、放っておくとどんどん大きな結石に成長してしまいます。
膀胱結石は膀胱炎の原因になりますし、今回のように緊急手術が必要な病態にまで進行していくこともあります。
結石は食事で予防できることが多いです。
尿の出が悪いなど気になることがあれば早めに来院してください。
淀川中央動物病院 藤木