膀胱結石
診療科目 | 外科 |
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症 状 | 膀胱結石は、その名の通り膀胱に結石ができる病気で、ワンちゃん猫ちゃん問わずよく出会います。他の種類では、うさぎさんの膀胱結石もかなり多い印象です。 膀胱結石は、その結石の種類も様々で、結石の種類により様々な動態をとり、ワンちゃん猫ちゃんの性別や体質によっても経過がそれぞれ違う複雑な疾患です。 |
- 症例の概要
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膀胱結石は、その名の通り膀胱に結石ができる病気で、ワンちゃん猫ちゃん問わずよく出会います。他の種類では、うさぎさんの膀胱結石もかなり多い印象です。
膀胱結石は、その結石の種類も様々で、結石の種類により様々な動態をとり、ワンちゃん猫ちゃんの性別や体質によっても経過がそれぞれ違う複雑な疾患です。
症例について
上の写真は、血尿で連れてこられたワンちゃんの症例です。中央の白くなっている部分が結石です。
オーナー様とよく相談した結果、早めの対処ということで膀胱切開の手術を実施し、術後の経過も良好です。
かなり結石の数が多く、膀胱じゅうが結石で満たされているような状態でした。このまま放置してしまうと、腎臓にも障害がでることがあり、早めに連れてきてもらって良かったなあ、とほっとしているところです。
次の症例は、膀胱結石が尿道に詰まってしまい、緊急で夜間に行かれた後に当院に連れてこられました。
結石の大きさによっては、結石がちょうど尿道に嵌り込んで、尿道が詰まってしまうことがあり、尿が出なくなって緊急を要する状態になることがあります。
このワンちゃんは、幸いすぐに夜間病院に連れて行かれたので、事なきを得たのですが、発見が遅れてしまうと全身に重篤な影響が出ることもあり、注意が必要です。
この症例の場合は、オーナー様と相談した結果、まずフードの効果をみたいということで、食事療法からスタートしました。
結石の種類によっては、フードで溶かすことができる場合もあります。オペに踏み切る前に、食事療法を試してみる場合も多く、うまくいくこともあれば、変化がなくオペになることもありますが、この症例の場合は、食事療法が功を奏しました。
食事療法を開始後二週間のレントゲン写真です。前の写真では確認できた膀胱結石の陰影が消失しています。
経過良好のため、フードを維持用のものに変更し、モニターしていくことになりました。
よく「膀胱結石はなんで出来るのか?」と聞かれますが、残念ながら「これ」という回答はなく、膀胱炎が引き金になることもあれば、食べているものや、あとはそれぞれの体質、尿の性状などにも左右されます。
紹介した症例のように、経過良好で暮らしていける場合もあれば、獣医師としては悔しいことですが、しっかりフードや薬を続けてくださっている子でも、膀胱結石が再発してしまうこともあり、症例それぞれに対する慎重な経過モニター、尿検査や画像検査が大事だなと痛感しています。
お家でできることはといえば、やはり、他の病気にも通じることですが、毎日の観察と、定期的な検査でしょうか。
尿が見た目きれいでも、血尿になっていることは思ったより多いものです。尿検査をすれば膀胱炎になっているかどうかわかりますし、画像検査をすれば、膀胱結石があるかどうかは、よほど特殊な結石でないかぎり、ほぼ100%わかります。
大変な病気であることには変わりないのですけれど、逆に考えると、病院内ですぐにできる検査だけで診断がつき、迅速な対応がしやすい病気でもあります。
おしっこが何かいつもと違うかな?と思ったらすぐに連れてきていただければと思いますし(尿を持ってきていただけるとなお助かります)、ぜひ定期的な尿検査、画像検査をおすすめします。