胆泥症
症例について
少しずつ日差しが暖かくなってきましたね。もうすぐ予防シーズンに入るということで、当院でもフィラリア検査と薬を求めて来院されるわんちゃんが増えてきました。
フィラリア検査は血液を用いた検査になりますので、同時に健康診断として内臓(貧血がないか、肝臓や腎臓の数値など)の血液検査をお勧めしています。また、フィラリア検査と内臓の血液検査に加え、レントゲン・エコー検査も同時に行う「健康診断セット」も普段より価格を下げて行っています。
この健康診断時に見つかることの多いわんちゃんの病気として「胆泥症」というものがあります。胆泥症は胆嚢内の胆汁(本来であればさらさらの液状のもの)が泥状になる病気です。
胆汁は肝臓でつくられると胆嚢に貯留され、食後に十二指腸に分泌されて脂肪の消化吸収に役立っています。
エコーでは液体が黒く映るため、正常な胆嚢内は黒く抜けてみえますが、胆泥症は胆汁の粘稠性が高まり泥状になるため、白くもやがかかったように見えます。
正常な胆嚢
胆泥の貯留
胆泥症は症状が出ないことが多いため健康診断のエコー検査時に偶然見つかることが多いです。
しかし、胆泥症が悪化するとさらに粘稠性が増して可動性がなくなり胆嚢粘液嚢腫という状態になることがあります。胆嚢粘液嚢腫では、胆嚢の拡張が重度となり、胆嚢壁の血液の流れが悪くなると、最終的に胆嚢が壊死・破裂し、内容物が腹腔内に流出することで胆汁性腹膜炎という重篤な状態になることもあります。
わんちゃんねこちゃんは人の4倍近くのスピードで年をとります。年に1回の健康診断で病気の早期発見・治療を行っていきましょう。