皮膚の癒合不全の手術と断脚術
種 類 | 犬 |
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診療科目 | 外科 |
症 状 | 雑種犬。鎖に絡まり下腹部に深い皮膚の裂傷、さらに足根部においては骨が露出するほどの深い傷を負っていました。 数週間前に他の動物病院にて縫合手術をするも傷は癒合せず、縫合糸は表面の皮膚だけを支持し、直下の皮下組織は後退し空洞が形成されていました。 足の露出した骨は乾燥し、骨標本のように表面はザラつき不気味なほど真っ白になっていました。 |
- 症例の概要
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鎖に絡まり下腹部に深い皮膚の裂傷、さらに足根部においては骨が露出するほどの深い傷を負ってしまったわんちゃん。内科的アプローチ(抗菌と湿潤療法)では改善は難しいと判断、外科的アプローチを選択することとなりました。皮膚形成手術と断脚術を行いました。
治療方法
内科的アプローチ(抗菌と湿潤療法)では改善は難しいと判断、外科的アプローチを選択することとなりました。
<皮膚裂傷>
癒合不全を起こしている面から5mmほど皮膚を切り取り新鮮創を露出。皮下組織が硬い結合組織となり筋肉に癒着していたため一部筋膜ごと切除。その後は定法にて皮膚縫合を行った。
単に「皮膚を縫い合わせる」と言うよりは「癒着した腫瘍をとる」といった感じでした。
<断脚(後ろ足)>
動物の断脚の目的は根治が期待されない病変の切除、そして残った足が地面につかない距離で行うことがポイントになります。
動物は究極にポジティブなので残った足をたとえ地面に着く痛みが生じようとも使います。
ゴツッと骨が地面に当たる音がしてまでも歩きます。地面に着くと本来クッション材として働く肉球がないので擦れて出血したり、ひどい場合は骨が露出します。そうならないために後ろ足の多くの場合後ろ足の付け根からの切断になります。
術後の経過
3日後の検診の際には3本足で上手に歩いていました。足を失ったことは悲しいことですが、治らない傷口からの痛みと重度な感染症から解放されたことを総合的に考えるとかなりプラスになっていると思います。
今では元気よく歩き、食欲も旺盛とのことです。