犬猫の避妊手術について

種 類 | 犬猫 |
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診療科目 | 外科 |
- 症例の概要
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避妊手術は日常どこの病院でも行われる手術です。雌を飼われたオーナー様は必ずどうするか考える手術だと思います。 そこで雌犬猫の避妊手術についてです。 〇性成熟 雌犬は品種、体格、飼育環境によって異なりますが、生後約6~15
症例について
避妊手術は日常どこの病院でも行われる手術です。雌を飼われたオーナー様は必ずどうするか考える手術だと思います。
そこで雌犬猫の避妊手術についてです。
〇性成熟
雌犬は品種、体格、飼育環境によって異なりますが、生後約6~15か月で性成熟します。ほとんどの犬は生後6~8か月で初回発情がきます。
雌猫は6~9か月で性成熟します。長毛種は初回発情が遅く12~18か月で性成熟するという報告もあります。
〇予防できる病気
犬:卵巣子宮疾患(子宮蓄膿症、子宮内膜炎、子宮癌、卵巣癌)、出産に伴う産科疾患、偽妊娠I室脱、伝染性生殖器腫傷
猫:卵巣子宮疾患(子宮蓄膿症、子宮内膜炎、子宮癌、卵巣癌)、出産に伴う産科疾患、持続性発情
〇避妊手術と乳腺腫瘍の発生率
避妊手術の時期と乳腺腫瘍の発生率は大きく関係していると言われています。
犬の乳腺腫瘍発生率は、初回発情以前に避妊手術を行うと0.05%、2回目以前8%、2回目以降26%と報告されています。発情4回目以降に手術を行ったとしても年齢の増加とともに乳腺腫瘍の発生率が増加するのでなるべく早くの避妊手術をお勧めします。
猫では6か月以前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率は9%、7~12か月齢では14%、13~24か月齢では89%と言われています。避妊してない猫は、している猫に比べ7倍の乳腺腫瘍にリスクが高いです。
〇避妊手術の行動への影響
犬:尿マーキング、発情期の放浪の行動は避妊手術で修正できる可能性があります。
攻撃行動に関する避妊手術の効果については、これらの行動がある期間続いている場合は,大脳によって学習されているため,去勢のみでは消失しないこともありますが,減少は期待できます。
猫:尿マーキングに対し、避妊手術は有効です。攻撃行動に関しては早期に避妊手術を受けた猫は、猫同士の攻撃行動が少ないと言われています。
皮膚切開ラインは動物種、体格によって異なりますが、犬は臍と恥骨前縁を結ぶ線を3等分し犬は上1/3、猫は中央1/3を切開します。術式には、卵巣摘出術と卵巣子宮摘出術があります。当病院では、通常犬は卵巣子宮摘出、猫は卵巣摘出術を行いますが、子宮全体をしっかり確認し、卵巣子宮摘出術を選択することもあります。