犬の尿石症

診療科目 | 外科 |
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症 状 | 血尿が主訴で来院されました。 |
- 症例の概要
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今回は犬の尿石症について解説します。
症例について
今回は犬の尿石症について解説します。
結石が尿路系のどこに存在するかによって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。主として、結石は腎臓と膀胱で形成されます。尿管結石は腎臓から、尿道結石は膀胱から流れ込んだ状態と言われています。
結石の構成成分は、ストラバイト、シュウ酸カルシウム、尿酸アンモニウム、シスチン、リン酸カルシウム等が挙げられ、複数成分からなる混合結石もあります。
犬では、尿路結石の約7割を占めるリン酸アンモニウム・マグネシウム(ストラバイト)形成には細菌が関与しており、炎症が生じた結果、尿中の上皮細胞が核となって結晶を作り、結石へと発達します。その他の原因としては、飲水量摂取の減少、食餌内のマグネシウム、カルシウム、リン酸等の過剰摂取、内分泌または代謝異常などが挙げられます。
ダルメシアンやヨークシャーテリアには尿酸アンモニウム、ミニチュアシュナウザーにはシュウ酸カルシウム、イングリッシュブルドックにはシスチンが多いとされています。多くは先天的に代謝異常やその関連疾患を持っていることに起因しています。
今回は、膀胱結石と尿道結石でしたが、経過が長く、レントゲンやエコー検査において、多量の大小さまざまな結石を多数確認したため外科介入となりました。膀胱切開術を実施し、膀胱内の結石を取り出しました。また、ペニス先端からカテーテルを挿入して、尿道内を逆行性に膀胱内に移動させるために、生理食塩水にてフラッシュを数回実施し、結石を取り除きました。その後、術中CTにより、結石が全て取り除かれたことを確認して、腹腔洗浄、閉腹しました。
術後の経過も良好で、3日後には退院、現在は結石の成分分析結果を待っている段階です。
今後は、結石の成分次第ではありますが、食餌療法と、飲水量を増やしていただくことで再発予防に努めていただくようインフォームさせていただいております。