症例詳細

異物の誤食

診療科目 外科 
症例の概要

「異物の誤食」では、特に消化されずに消化管内で詰まったり刺さるなどして体にダメージを与えることがあります。物が詰まった場合、ほとんどの症例で「嘔吐」症状を起こします。症状や発生状況などの聴取、身体検査より異物の可能性を疑ってゆきます。中毒や膵炎なども頻回の嘔吐を起こす疾患の代表格なので血液検査を実施してあらゆる可能性から徐々に原因を絞ります。画像診断は異物の発見にはかなり有効です。

症例について

日々私たちが暮らす環境には動物たちにとって危険なものがいっぱいです。

今回は危険なものの中で比較的よく起こる「異物の誤食」、特に消化されずに消化管内で詰まったり刺さるなどして体にダメージを与えるものについてクローズアップしてみます。

人間の赤ちゃんではコインやビー玉などの誤食が多いそうですが、動物病院ではビニールやヒモ、ぬいぐるみやボタン、竹串や鳥の骨、携帯ストラップ、などが多いです。

 

 

~症状~

物が詰まるとほとんどの症例で「嘔吐」症状を起こします。完全に腸を塞ぐ完全閉塞状態だと嘔吐の回数も1日5回以上になることが多いですが、胃の中でゴロゴロ転がっている時や完全に詰まっていない不完全閉塞状態だと嘔吐症状を起こさない場合もあります。

そういったとき動物たちは震える、お腹を丸めて寝る、涎を垂らすなど特定しにくい症状で来院されるので完全閉塞を起こしている子より診断は難しくなります。

 

 

 

~診断プロセス~

症状や発生状況などの聴取、身体検査より異物の可能性を疑ってゆきます。中毒や膵炎なども頻回の嘔吐を起こす疾患の代表格なので血液検査を実施してあらゆる可能性から徐々に原因を絞ってゆきます。

 

 

画像診断は異物の発見にはかなりの効力を発揮します。金属製の異物はレントゲンに明らかに写ってきますし、ひも状異物は胃から十二指腸にかけて詰まることが多いのでエコー検査で確定できる場合もあります。

 

これら短時間の検査で確定できない場合はバリウム造影検査を行うことも多々あります。バリウムという白いドロッとした液体を飲ませて食道から大腸にかけてスムーズに流れてくれるか10分~2時間おきにレントゲン撮影してゆく検査です。

 

内視鏡検査や CT検査を行うのも異物発見に一役買います。デメリットとして全身麻酔をかけなければならないことです。動物たちも人間のようにえずくのを我慢して内視鏡を飲み込んだり、CT検査中1cmも動かずに息を止めて撮影に協力してくれれば麻酔をかけずにすむのですが残念ながらそうはいきません。

 

 

写真:左から、エコー検査、バリウム造影レントゲン検査、内視鏡検査、CT検査

 

 

 

~治療、異物の摘出~

異物が見つかった場合、その対処方法は内視鏡での摘出、外科的に摘出、吐かせるなどがあります。多くの症例は頻回の嘔吐を主訴で来院されるので「吐かせる」という選択肢はあまり有効ではありません。先の尖った異物も腸管にささるリスクがあるため吐かせることはできません。

身体検査や各種検査により胃内に異物がありそうならば内視鏡で摘出、腸や内視鏡で摘出できない胃内異物は外科的に摘出します。

摘出後の切開部位はPDSなどのモノフィラメント吸収糸(細菌感染を起こしにくい体に吸収されて溶ける糸)で縫合します。

 

 

 

写真は最近当院で摘出した異物

 

 

 

~異物摘出後の入院ケア~

内視鏡で摘出できた場合は胃粘膜の損傷具合にもよりますがだいたい1泊でお返しすることができます。

外科手術を行った場合は術後12~24時間は絶食絶水し腸管縫合面への蠕動刺激を最小限にする管理を行います。その後胃粘膜保護剤を投与し、少量の水を与えます。吐かないことを確認したうえで少量の流動食を与えます。それでもまた吐かないかということを入念に確認しつつ少量を回数多く与えてゆきます。

食事や飲水を制限しているので入院中は静脈点滴で足りない水分補給を行い、抗生剤も静脈注射で確実に投与します。

 

 

 

 

~退院そして抜糸へ~

退院後のケアはその子その子の病状によって変わりますが、退院後は軟らかいフード(ドライフードを食べている子はお湯でふやかしたり、缶詰を少量のお湯でドロドロにしたりして)与えてもらいます。

ここで多量のフードを一気に与えてしまうと体調を崩すことがありますので、ここでもやはり少な目を回数多く与えることが大切です。術後10日ごろに皮膚を縫合した糸を抜糸します。

抜糸後もしばらく抗生剤の投与が必要です。

 

 

~お願い~

動物たちは食べた瞬間に「痛い!」とか「苦い!」と感じればそれを食べることはなくなります。

一方、食べてからだいぶ経って具合が悪くなるモノや、ましてや意識のない間に手術で摘出された異物に関しては動物たちは怖いものだと認識するすべがありません。また同じものを食べてしまいます。

自然界には消化されない科学的に作られた人工物は存在しません。完全に危険性がある異物をなくすことは難しいかもしれませんが、できるだけそういった危ないモノがない環境を作ってあげるようご協力よろしく願いします。

淀川中央動物病院

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